卵巣腫瘍、子宮内膜症、筋腫
卵巣は子宮の両側に1個ずつあり、女性ホルモンを分泌する臓器です。卵巣腫瘍は3cm程度の大きさから、30cmを超えるものまでさまざまです。発生起源により、表層上皮性・間質性・性索間質性・胚細胞腫瘍などに分類され、それぞれが良性・悪性・境界悪性に分かれます。

■ 症状
大きくなるまで無症状であることが多く、健康診断で見つかるケースがほとんどです。腫瘍が大きくなると捻転や破裂を起こし、激しい痛みを伴うことがあります。
■ 診断
超音波検査やMRI検査により、腫瘍の種類・大きさ・治療の緊急性を判断します。早期発見・早期治療が重要です。卵巣腫瘍が見つかった時点ですぐに手術が必要になるわけではありません。当院ではまず精密検査を行い、治療の必要性を判断したうえで、患者様と相談しながら治療方針を決めていきます。
本来子宮の内側を覆っている子宮内膜が、子宮以外の場所にできてしまう疾患です。月経のたびにそこから出血が起こり、月経痛以外の痛みを感じます。卵巣周辺に発症することが多く、血液が溜まって「チョコレート嚢胞」と呼ばれる状態になることがあります。

■ 主な症状
・強い月経痛
下腹部や腰の慢性的な痛み
・排便時・性交時の痛み
骨盤内臓器の癒着による慢性痛
・不妊の原因となる場合がある
子宮外の内膜は月経時に排出されないため、閉経まで徐々に進行し、子宮や卵管に癒着を起こして妊娠しにくくなることがあります。また、癒着やチョコレート嚢胞ががん化するリスクも指摘されています。
■ 検査方法
| 検査方法 | 内容 |
|---|---|
| 問診・内診 | 月経の状態や痛みの程度など伺い、触診で子宮卵巣の可動性、圧痛を確認します。 |
| 超音波(エコー) 検査、採血 |
腟から超音波を挿入し、子宮や卵巣の状態を観察します。特にチョコレート嚢胞の診断に有効な検査です。CA125などの腫瘍マーカーで病勢、悪性転化を評価します。 |
| MRI検査 | 詳細な画像診断が必要な場合に、病巣の広がりや悪性の有無を精密に確認します。 ※MRI検査が必要と判断した場合は、連携する専門の医療機関を紹介いたします。 |
■ 子宮内膜症の治療
| 治療法の種類 | 内容 |
|---|---|
| 1.対症療法 | 鎮痛剤や漢方薬などを用いて、月経痛をはじめとする「痛み」の症状を直接和らげます。まずはつらい症状を抑えたい方や、ホルモン剤に抵抗がある方に適しています。 |
| 2.薬物療法(ホルモン療法) | 低用量ピルや黄体ホルモン製剤を服用し、子宮内膜症の進行を抑え、痛みの根本に働きかけます。長期的に症状をコントロールしたい方や、手術を希望されない方におすすめです。 |
| 3.手術療法 | 腹腔鏡などを用いて癒着や病巣を取り除きます。症状が重い方や薬物療法で十分な効果が得られない方、また早期の妊娠を希望される場合に検討されます。 |
| 4.その他 | 黄体ホルモン放出IUS(ミレーナ) |
年齢・症状の程度・将来の妊娠希望などをお伺いしたうえで、治療方針を一緒に考えていきます。低用量ピル・黄体ホルモン製剤・漢方薬など、薬剤による治療を中心に行っています。院長は子宮内膜症を中心に診療・研究を行い、多数の腹腔鏡手術経験を有しています。20代~50
代の幅広い年代の方、痛みや不妊でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
子宮の筋肉からできる良性の腫瘍で、成人女性の約4人に1人にあると言われています。命に関わる病気ではありませんが、ごくまれに悪性の子宮肉腫が見つかる場合もあります。
良性であっても、不妊の原因になったり、ひどい生理痛や貧血で日常生活に支障をきたすことがあります。症状の変化が緩やかなため気づかないまま悪化することも少なくありません。予防と早期発見のため、定期的な検診をおすすめします。

種類と症状
■ 種類別の特徴・症状
【粘膜下筋腫】(子宮の内側)小さくても生理の量が非常に多くなり、貧血・月経困難症・過多月経・不正出血などが現れます。
【筋層内筋腫】(子宮の筋肉の中)最も多く初期は無症状ですが、大きくなると貧血・月経困難症・過多月経・不正出血の原因に。周囲の臓器を圧迫し、水腎症・便秘・頻尿・腰痛などが現れることもあります。
【漿膜下筋腫】(子宮の外側)自覚症状が出にくく発見が遅れやすいタイプ。大きくなると症状が現れることがあります。
■ 子宮筋腫と不妊
子宮内腔に突出すると、不妊や流産の原因となる場合があります。
■ 治療
患者様の年齢・筋腫の状態・症状に合わせた治療方針をご提案します。
■ 対症療法
疼痛には鎮痛剤、貧血には鉄剤や止血剤を使用します。
【偽閉経療法】
女性ホルモンの分泌を抑え、閉経に近い状態にします。薬剤を4週間ごとに6か月間投与し、低エストロゲン状態を作ります。副作用として更年期様症状や骨密度低下などがあります。治療中止後に筋腫が再度増大する可能性があります。
【子宮動脈塞栓術(UAE)】
カテーテルを用いて子宮動脈を塞栓し、筋腫の縮小を図る方法です。疼痛・感染症・子宮壊死・卵巣機能不全などの合併症や、妊孕性への影響が懸念されます。
【手術療法】
貧血・過多月経・過長月経などの症状がある場合、悪性疾患が疑われる場合、不妊・不育症の場合に適応となります。
UAEや手術が必要な方は、速やかに連携施設へ紹介いたします。